510人のサイクリストが銚子の太平洋ロードを疾走
関東平野の最東端、千葉県銚子市犬吠埼。世界灯台100選として知られる「犬吠埼灯台」の眼下にあるシーサイドロードが舞台。
メインステージは君ヶ浜しおさい公園駐車場。2016年5月22日(日)、銚子で自転車耐久レース「犬吠埼エンデューロ」が初開催された。
千葉県を中心に関東近郊から総勢男女510人(16~71歳・189組)が参加した。
本大会はスポーツで地域活性化を目指す「NPO法人銚子スポーツコミュニティー」(小倉和俊理事長)が発起団体となり、銚子市と同市観光協会、一般社団法人ウィズスポらと初の開催へとこぎつけた。また、本大会は一般社団法人ウィズスポが全国で開催する地域の魅力を体感できる市民参加型自転車イベント「ツール・ド・ニッポン 2016 」の第3弾として位置付けられており、サイクリストらから一目置かれている大会とだけあって、強者も多数参戦。
スタートは君ケ浜しおさい公園の駐車場前に設けられ、コースは犬吠埼灯台付近など2カ所で折り返す4.6kmの周回するスタイルだ。
種目は3時間エンデューロ(ソロのみ)と5時間エンデューロ(ロード男子チーム・男女混成車種自由チームなど)の2種目。
ゲストは大会アンバサダーであり、トライアスロンコーチの青山剛さん。
大会MCには、DJであり、スポーツMCとしても活躍される南隼人さん、千葉県のFM局「bayfm」でパーソナリティを務める きゃんひとみさんが担当。早朝にもかかわらず、3人はステージ上から選手たちを歓迎するように、会場を盛り上げていた。
快晴の空の下、レースが開始
県道254号線を5時間完全封鎖した、参加選手限定の貸切状態のもと、試走時間は朝6時50分からの40分。
開会式では大会実行委員長の小倉和俊、銚子市長の越川信一より選手に向けて激励の言葉が贈られた。
レース開始前のライダーズミーティングでは、出走する際のグローブ、ヘルメットの装備必須
また、レースを安全に走るためのマナーなどが強く呼びかけられた。
7時45分、選手一同はゆっくりとローリングスタート。2周ほどコースを回ったところで、グリーンフラッグが振られ、本スタート。
出走している選手らは一気にスピードアップ。軽快なタイヤの音が響き出した。
絶景のシーサイドロードを仲間と満喫
5時間をメンバー交代しながら走る「チーム」、3時間を1人で走る「ソロ」。各部門で周回数を競う。
どちらも、自転車だけではなく、自身の体力と集中力もレース展開を左右する。
そして、ベストパフォーマンスのために水分補給・エネルギー補給は欠かせない。
チーム戦はピットインがキーポイントの一つ。アンクルバンドを素早く外し、次の出走者へとつながなければならない。
チーム内で、いたわりと励ましの声援が飛び交う。サイクリストを包みこむ潮風が味方となるか、試練となるか。
上空まで昇った太陽の日差しが降り注ぐ中、各選手は時折大海原を望みながら、自転車を前へ前へと進めていた。
レストタイムには銚子の味に舌鼓
会場の出展ブースには地元銚子の味わいがずらり。ぬれ煎餅のイシガミ、カレーボールの嘉平屋、いわし団子汁の銚子ぜんとうなどなど、
また観光協会によるお土産の販売なども軒を並べた。
走った周回数に応じて会場内のブースで使用できるポイントが付与される「サイクルポイント」もあり、飲食ブースは大賑わいであった。
出走者以外の方も楽しめるステージイベント
大会をより一層盛り上げるステージでは、各イベントでは随時繰り広げられていた。
発足40周年を迎える伝統芸能団体「銚子正調大漁節保存ひびき連合会」や、銚子ハワイアンフェスティバル主催校によるフラダンスショー。
銚子にゆかりある団体の演舞と音楽が、会場を盛り立てた。
大会アンバサダー青山さん、大会MCの南さん、きゃんさんらによるトークショーでは、
エネルギー補給・水分補給の仕方、自転車だけではなく自身の体にも気を配ることなど、サイクリストへのアドバイス談義などが語られた。
(ちなみに、青山さんの自転車は160万以上するという裏話も!)。
イベントのラストは、板垣靖則さんによるBMXパフォーマンスショー。
BMXのハイレベルトリックが数々繰り広げられ、跳ねたり、回したりと、観客を大いに賑わせた。
フィニッシュ。表彰式とお楽しみ
ピットイン禁止時間になる15分前。最後の力を振りしぼり、続投する選手。ラストのまき返しを仲間に託し、ピットインする選手。
長時間の疲労感と、間もなくフィニッシュできる安堵感。走行する選手の表情はさまざま。
日差しがサンサンと注ぐ正午すぎの12時45分。競技のタイムリミットを迎えた。
会場ステージ上で行われた表彰式。各部門の入賞者たちが疲れを吹き飛ばすほどの笑みを浮かべながら、ステージへと駆け上がった。
功績を讃え、銚子地元特産のメロンや金目鯛などが贈呈され、あふれんばかりの拍手喝采が会場をにぎわせた。
大会ラストのお楽しみは、豪華商品をかけたジャンケン大会。
これまた、自転車のギア、銚子特産のキャベツ(一箱!)、青山さんの書籍など、嬉しいギフトがズラリ。
大半の参加者にギフトが行き渡る大盤振る舞いだったのは言うまでもない。
まだ、日の出間もない早朝に集合し、一人で、仲間と、長時間にわたり奮闘した銚子の貸切シーサイドロード。場内の興奮が冷めきらぬまま、選手らは会場を後に。
太平洋の大海原を眺めながら、昼食がてら、銚子の街並みを楽しんだことだろう。
(執筆=奥山堅治)