様々な地域と連携することでイベントを開催してきたツール・ド・ニッポンですが、今回スルガ銀行さんと新たな提携を結ばせていただくことになり、静岡県を中心にサイクルツーリズムを更に盛り上げる新しい取り組みが始まりそうです。
その提携の中心人物ともなる『スルガ銀行ロードバイクプロジェクト』キャプテンの深田さんに、どうしてスルガ銀行が自転車という領域にプロジェクトとして取り組んでいるのか?そこにはどんな夢や未来を思い描いているのか?
まだ語られていないプロジェクトに対する熱い想いを伺ってきました!
>>提携についての内容はこちら(ウィズスポがスルガ銀行と業務提携 魅力溢れる静岡に全国のサイクリストを誘致)
お話を伺ったのは
深田 聡朗 さん
スルガ銀行ロードバイクプロジェクト キャプテン
スルガ銀行のロードバイク購入ローンの開発者。沼津・伊豆エリアにおいても、多くの参加者を集めるプレミアムライドイベント『Tour de SURUGA』を主催するモニターツアーの第一人者。
>>スルガ銀行ロードバイクプロジェクト
自身の経験から『ロードバイク購入ローン』を立ち上げた。そこから生まれた新しい循環
―今となっては「ロードバイクプロジェクト」を運営する深田さん。そんな深田さんはどのように自転車と出会ったのでしょうか?
2010年なんですけど、僕が自転車を買ったんですよ。そのときに、9万円くらいのクロスバイクをまず買ったんです。イタリア製の自転車で、おしゃれ街乗り目的で購入しました。実は、ロードバイク自体はハンドルの形があまりかっこいいと思っていなかったんです(笑)それで飲みに行った時なんかに、友だちに話してたんですね。すごい自転車買っちゃったんだよねって。
そしたら、たまたま話してた相手がトライアスロンをやっている人で、じゃあ自転車買ったんなら自転車のレース行こうよ!って誘われて、買って早々レースに出ることになったんです。その時は富士チャレに出ることになりました。
当日を迎えてみるとクロスバイクで参加している人は僕しかいなくて。ドリンクのボトルも無く。しかも普通のラン用の格好で(笑)
圧倒的な差を思い知らされて、その1週間後にはロードバイクを買いに行きました。
―悔しい!みたいなところから、やる気が出たんでしょうか?
これは何が違うんだろう?っていう好奇心ですね。それでカーボンのロードバイクをすぐに買ってしまいました。19万円くらいだったんです。
買ったんですけれど、買うときに現金を持っていなかったんで、クレジットカードで買いました。それで分割払いにしたのですが、金利が結構高かったんですよ。年14%以上とかって。みんなこうやって買ってんだろうなーって。もっと高いバイクがたくさん売っているので。さらにバイクの他にも、ヘルメット、ウェア、シューズなど一式揃えようと思うと結構お金がかかりますよね。そこで自分に合った支払い方法で組めるローンを作ったら、もしかして響くんじゃないかな?と思って、『ロードバイク購入ローン』というのを作りました。
翌月には商品化されてSNSで反響がありました。情報サイトの「サイクリングタイム」に取り上げられたこともきっかけで、わっと火がつきました。
でも当時のサイクリストからの反応は賛否両論でした。ひとつは「こういうのを待っていた!」というもの。もうひとつは「知らないくせに」「自転車に乗ってもいないのに」という批判的なもの。これは自転車に乗っていることをちゃんと知ってもらわないと、と思いました。
―そこからこのプロジェクトがまわりはじめたんですね
はい、SNSでライドやイベント参加の様子を発信しました。そんな風に活動を続けているうちに、2011年に御殿場東支店の建て替えのタイミングでサイクルステーションを設置することになりました。
ヒルクライムイベントで走っていると、私達がスルガ銀行オリジナルのサイクルジャージを着ていることもあり、参加者の方から声をかけられるんですね。「この自転車、スルガのローンで買ったよ!」って。同じ坂を一緒に登っていることで一気に距離が縮まり、濃厚なコミュニケーションができました。お客様が前向きに活動すること、夢を追うこと、趣味で自己実現する場にご一緒し、それをサポートすることが我々の仕事だなと思いました。サイクルステーションはそのための場所です。
さっそく「スルガ銀行プレゼンツ」という冠で、リンケージサイクリングの田代さんの協力を得て、共同で日常的なライドイベントを行うようになりました。
何回かイベントにを開くうちに、複数回参加してくれるお客様がでてきて、口座を作ってくださるようになったり。
―新しい循環ができたんですね。
今まで金融機関の選び方って、職場や学校の指定があったり、職場が近い・住んでいるところが近いといった理由が圧倒的に多いんです。
それが「こういうことやっている銀行ならいいかも」「好きだから」という理由で選ぶ。新しい選択肢が生まれたんですね。『好き』だから付き合ってくれる。これってもう友達に近い関係ですよね?(笑)でも、お客様との関係は、本来、こうじゃなきゃいけない。これからは、そうじゃなきゃいけない。
なので、今もこのプロジェクトは継続していて、田代さんのご協力も得ながら年々大きくなっているところです。
―そういった流れの中で、自然と提携の話となったのでしょうか?
いや、それがまた紆余曲折ありまして(笑)
この活動に対して、静岡県内の自治体さんから問い合わせがあったんですね。一緒にこういった活動はできませんかと。静岡県は2020年オリンピックの自転車開催地でもあるので、盛り上がりの土壌があります。なので地元の企業として積極的にご協力しましょうということで県内各地でのライドイベントが始まりました。
自転車で観光振興を図っている自治体の方との活動を通して、サイクルツーリズムの伸びしろを実感しました。そして我々が出来ることもまだまだあるなと。ツール・ド・ニッポンとの提携は、我々の活動の幅を大きく広げる絶好の機会だったんです。日本各地でサイクルツーリズムの波が大きくなり、それが静岡県に波及するように努力をしたいと思います。
―提携を受けて、これは実現したい!など、なにか夢や野望はありますか?
伊豆を一周する、「伊豆いち!」を盛り上げたいなと思っているんです。距離も長いし、コースの表情も豊かで。こんなに魅力的なロングライドイベントは無いですよ。イベントを通して、伊豆の魅力、そして自転車の魅力にもっと触れてもらいたいと思うんです。
そこで、ノウハウを持っているツール・ド・ニッポンに協力してもらって、イベントを盛り上げてもらおうという話になったのが、今回の提携です。流れとしては、必然的だったんです。
―コースのレベルはどんな人におすすめできる内容になりそうですか?
一周は正直かなりキツイです(笑)
でも、部分的に走るんであれば、初心者でもとても楽しめると思います。川沿いではずっとフラットな道が続く場所もあります。輪行で来て、のんびり走って帰るなんていうのも可能。いろんな種類のプランを用意したいですね。
体験しないとわからない自然や文化を感じてもらうのが『グループライド』
―今回インタビューさせていただいているこの場所は、天城湯ヶ島にあるスルガ銀行さんの施設なのですが、2017年8月に3つめのサイクルステーションとしてできたんですよね。伊豆の中心となる場所です。
ここを起点に今もプロジェクトとして走られてるということですが、伊豆を自転車で走る魅力はどんなものがありますか?
やはり、アップダウンがすごいですよね(笑)
どんどん奥に入っていくと、古い峠道ってたくさんあるんですね。そばに新しく開発された道があると、昔の峠道は自転車にとって貸切状態なんです。
このあたりのエリアにもたくさんそういう道があります。うちのイベントでは、田代さんが試走して、そういった自転車にとって質のいい道を発掘してくれています。
―意外と知らないんですよね。簡単に調べられる道は、車通りの多い道ですもんね。
あと、伊豆はこの半年関わっているんですが、とにかく自然がすごい。
グループライドをするときは、あらかじめ僕もコースチェックに行くんですが、ある時、仁科峠という場所に夕方6時位に行ったんです。
行く前に近くのお店さんにご挨拶に行ったら、「鹿に気をつけてね!」とか「動物にぶつからないようにね!」とか言われるんですね。いやいや大げさな、まだ陽は沈んだばかりですよ?脅かしてるんですね?(笑)と。そんなこと言いながら峠に向かっていったんですが、本当に、鹿とたぬきとイノシシと、道にガンガン出てくるんですよ!まだ夕方の6時台ですよ?20km登るだけの間に何回も出てくるんです。
すごいな〜伊豆、と(笑)
―これはその時間を実際に過ごしてみないと体験できない感覚ですよね(笑)
首都圏の方からすると、これは明らかに非日常。伊豆の魅力はなにかを一言で言うと、懐の深さです。一回走っただけではわからない魅力があると思っています。
できるなら、泊まりがけで一夜過ごしてみて、野生の動物なんかにも遭遇したりして、っていうツアーもやってみたいですね(笑)
―ただ、「自然が魅力」というと、どうしてもどこにでもあるもののように聞こえてしまって、伊豆の魅力は体感してもらわないとわかりづらいですよね。
そうなんですよね。葉っぱと木の枝に埋め尽くされた道とか。
秋なんかは、スーパーに行くよりも道に栗が落ちているとか。
柿が信じられないほど木になっているとか。
伊豆の里山の景色ってとても貴重なんじゃないかと思います。
―あとは、街の人とサイクリストの交わる点が自然に増えるといいな、というのが、私の個人的な想いとしてもあります。
実は、そういった場所はこのあたりたくさんあるんです。餅をサイクリスト割引で食べられたり、地元の方・お店の方だけでなく、観光で訪れた方との交流があったり。ただ、とにかくそういった場所のことが知られていない。これは非常に残念なことですよね。実際に行って、食べて、体験してもらうのが一番。そのためのグループライドでもあります。
今回の提携の内容にもありますが、グループライドで体験してもらうのはとても重要な事だと思っているんです。
全国が盛り上がらないと静岡も盛り上がらない。だからツール・ド・ニッポンと一緒に全国を応援したい。
―最後に、スルガ銀行さんには、これからレポートライダーとしてツール・ド・ニッポンのイベントに来ていただくことになりますが、参加者のみなさんにメッセージをお願いいたします。
静岡県だけをよく見せる、静岡県だけにサイクリストを呼ぶ、っていうのは無理だと思うんです。サイクリストの方が日本中どこにいっても走れる、楽しめるっていう環境にならないといけないので、他の地域も盛り上がってほしい。そうしないと静岡も盛り上がってこない。なので、僕らは全国のエリアも応援したいんです。
ただ、僕らの手だけでは出来ることが限られているので、今回ツール・ド・ニッポンと一緒にやることで、日本横断的に応援することができるようになって、日本のココではこんなに盛り上がっているというのを伝えていきたいんです。そのためにレポートライダーとして参加します。
レポートライダーの記事が掲載されるのはこちら
スルガ銀行運営のオウンドメディア『d-labo』
ここに2018年ツール・ド・ニッポンシリーズにスルガ銀行ロードバイクプロジェクトが参加したイベントレポートが掲載予定です。当日写真を撮ってもらった!インタビューを受けた!というときは特に要チェック!